視線の先は必ず読まれる。読み手を誘導するテクニックとは。

『ネットで「女性」に売る』39の法則。こぼれ話10。

優れた広告や販促物には、お客様の視線の流れを上手くコントロールする「視線誘導」のテクニックが使われています。つまり、どこをどういう順番で読ませるのか、真っ先に注目して欲しいのはどこなのか、といったところが、しっかり設計されているのです。

ベストセラー『ネットで「女性」に売る』では、女性向け商品・サービスを「売るため」の文章とデザインノウハウを39の法則に分けて詳しく解説しています。この記事では、その10個目の法則についてご紹介しましょう。

法則10:視線の先は必ず読まれる

「視線誘導」という考え方は、まだ一般にはそれほど知られていませんが、マーケティングやデザインの業界では、こっそり使われています。誘導のテクニックというと、なんだか悪どく感じる方もいらっしゃるかもしれません。けれど、伝えたい内容をしっかり読んでもらうためには、人間の行動特性として、覚えておいて損はありません。

人物の目線の先には思わず目がいく

視線誘導の例として最もわかりやすいのは、「人物写真の目線の先」に重要な情報を配置する手法でしょう。他の人が何かをじっと見つめていると、一体何があるのかとつい気になってしまいますよね。実は、同じことが人物写真においても起こります。写真の中のモデルさんがどこか一点を見つめていると、多くの人は、その「目線の先」を追ってしまうのです。

たとえば、「人物写真」の「目線の先」に重要な情報を置くようにすると、見てもらえる確率が高まります。逆に、うっかり「目線の先」が画面の外に出てしまうと、かえって読者の気を他所にそらしてしまうことにもなりかねません。

このような人間の習性を活用するには、細部の調整が重要です。ぜひ、見せたい情報がぴったり目線の先に来るように、しっかりと配置の微調整を行ってください。写真素材の高さや角度を調整したり、反転させて逆の位置に置いたりするだけでも、印象はまったく異なります。

また、写真によっては「モデルさんが見つめている位置」と「文字の位置」がうまく噛み合わないこともありえます。そのため、写真選びのタイミングで、写っているモデルさんが見ているのは奥なのか手前なのかなど、細部まで慎重に確認する必要もあります。

小さな工夫の積み重ねで数字は大きく変わってくる

写真素材の配置調整など、一見地味で細かな作業に思えるかもしれませんが、小さな工夫の積み重ねこそが数字を作るといっても過言ではありません。たとえば、100人が訪問したら1人成約するサイトがあったとします。この成約率1%のサイトが、細かな工夫を重ねることで成約率2%になれば、どうなるでしょうか。100人に2人買うサイトになるのですから、売上は2倍になるのです。つまり、たった1%の差でも、結果の違いは意外に大きいもの。地道な改善施策にもひとつひとつ取り組むことこそが、利益の差につながっていきます。

販促物を構成している素材を小さな要素に分解し、それぞれの要素が本当に今の形でベストかを常に考えましょう。そして、各要素で他の選択肢がないかという視点を持つようにしてみてください。きちんと要素分解しないまま、なんとなく勘で出したものは、たとえ当たっても再現性がありませんし、はずれても次の改善施策に繋がりません。なんとなく大雑把に全体を捉えるだけでは、何がどう結果に影響したのか検証しようがないのです。

好奇心を持って実験を繰り返す

最終的には、施策が当たるか外れるかは、やってみなければわかりません。だからこそ、常に少しずつ変えては、あれこれ試してみるのです。

この記事を読んでくださっているあなたも、日頃から集客や販促活動を通してお客様の反応の違いを実感しているのではないでしょうか。チラシひとつとっても、制作物の出来次第で、反応に大きな差が如実に現れますよね。

そのとき「あぁ、今回はハズレだった」で終わらせるのではなく、いい時も悪い時も、その時々の結果がなぜ出たのか、ぜひ考えるようにしてみてください。そして、考えたことを元に、次はどんな風にしてみようか、要素を変えるとどうなるのか、好奇心を持って取り組んでいくのがポイントです。

人から聞くだけではなかなか身につきませんが、自分なりの意図や仮説を持って出したものは、仮に外れても次はこうしようと思えるはずですし、何度も検証を積み重ねていくうちに、何が数字につながるのか腑に落ちる瞬間が訪れます。

現行のアイディアを盲目的に過信せず、ぜひ、どの要素にどんな効果を持たせたいのか、仮説検証を繰り返していきましょう。自分で検証し、納得しながら取り組んでいただくのが施策の解像度を上げる一番の近道。常に、最適化していこうという姿勢こそが、大切なのです。

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広告や販促は、文章とデザインの合わせ技です。ちょっとした違いが大きな売り上げの差をもたらすことも珍しくはないので、ぜひ両方の観点から女性に響く見せ方を磨いていただければと思います。とはいえ、どちらも本気でテコ入れするとなると、やるべきことが膨大に感じるかもしれません。できることなら、限られたリソースの中でインパクトのある施策から順番に取り組みたいですよね。

ネットで「女性」に売る』の著者である谷本理恵子は、マーケティングの最前線とも言われる通販の運営責任者として、泥臭い集客を重ねてきた現場叩き上げの人間です。独立後もプロの「セールスコピーライター」として、あらゆる女性向け商材の販促や商品企画などに、成果にこだわったアドバイスをさせていただいています。

多くのクライアント様と関わる中で「これを知らないまま進めばすぐ頭打ちになってしまう」という無駄な広告費や時間や手間を目の当たりにすることも多く、非常にもったいないと感じています。

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